2017年9月 4日 (月)

2017年9月59号(通巻283号)

1p ・・・・・・「ほんのひとこと」

アマゾン号が砲撃を開始した
出版協副会長 上野良治(合同出版  
2p-5p ……FAX新刊選9月に出る本/出版協Books

2017年8月30日 (水)

アマゾン号が砲撃を開始した

欠品率の成績表
 去る8月9日、アマゾンから「貴社欠品状況と日販引当率」(先週1週間)をお知らせします、というメールがデータ添付で送られてきた。1週間前にも同様の成績表が来ている。「6月30日をもって、日販様、大阪屋栗田様へのバックオーダー発注を停止しており(中略)貴社に在庫があるにも関わらずamazon.co.jpで在庫切れとなっている状態を防ぎ、(中略)お客様に商品をお届けできる状態を作るための参考」との前口上付きだ。 
 このデータによると、先週1週間の欠品率:20. 9%――1万回の閲覧があったとすると、2090回は欠品状態になっていたというのである。 
 欠品状態では、「在庫あり」表記と比較すると、購買率が大きく低下するとコメントしている。
 
発注冊数、銘柄点数、引当数 
 この3点についてもデータが送られてきた。日販にスタンダード発注した総冊数の内、引き当てられた冊数は、16.5%だとされていた。アマゾンは日販に対して適切な在庫数をデータ開示しているという。
 
カート落ちとマーケットプレイス 
 カート落ち商品(買い物かごがなくなり注文不能になる)になると、アマゾンでは買えないことになる。もちろん、マーケットプレイスという第二市場が設けられているが、新刊発売後4週間でカート落ちして、マーケットプレイスで本体1500円の本が4800円で出品されていたという版元の話を聞いた。
   これはならじとこの版元は、マーケットプレイスに自社から1500円で新刊在庫を出品したという。
  北海道から翌日にはカニが届く時代。本を欲しい方の手元に遅滞なく届けられるように、日販―大阪屋栗田―アマゾンの間で不断のシステム改善を実行してほしい。日販さんの倉庫統合、ロングテール在庫充実の効果に注目している。
 
最恵国待遇と独禁法違反 
  アマゾンは「カート落ちや欠品状態の解消にはe託販売サービスのご利用」を勧誘している。e託を利用すると版元はアマゾンと直接やり取りすることが可能になるという。そう言えば6月末日までに直取引をすると契約条件を優遇するというお誘いもあった。
   一方で、6月にはアマゾンが「最恵国待遇」条項を取引先に求めていたことで、公取が独禁止法違反の疑いがあるとした。「俺との取引はもっとも安い価格でないとだめだぞ」という「最安値条項」は、優越的地位乱用の最たるものだろう。8月にもアマゾンは電子書籍での「最恵国待遇」契約の存在を認めてこの条項の破棄を発表した。
   「同等性条件」とも強弁していたそうだが、契約書にこの文言が入れば、納品業者はたまったものではないだろう。一番安くなければ、契約違反で取引を停止をほのめかされるだろう。
   契約書からこの文言がなくなったからと言って、アマゾン本社のビジネスマインドは変わるのだろうか。
  年間契約で、実績で契約条件見直しをし、あまつさえ契約の実質的な決定者が「会社」ではなく、部局の責任者に任されていて、その責任者も年俸で評価されているとしたら、取引するこちらとしては、「共生」の心根がない責任者に変わったらと戦々恐々である。
 
アマゾンは再販制を守るか 
    「一番安く仕入れて、どこよりも早くお客様に届ける」。後半は良い。前半を実現するには、つねにデータ評価で取引先との条件を「最適」なものにしていく。
   このビジネスマインドが基本だとすると、本の価格維持を担保している再販制をアマゾンは尊重するのか。
   一強、できれば独占ならなお結構、版元とアマゾンが直取引をするなら、取次はいらなくなる。書店はかろうじて街の新刊書籍・雑誌の見本展示コーナーになる。展示コーナーの機能だけでは、文化・学術施設で公営にするか、入場料経営になるだろう。
   これは、ある熱帯夜の明け方、悪夢にうなされた。
   「昔、出版界には取次があって、街々にあった書店では本が買えたのだ」 
   「4500社ほどの出版社があったが、今は、300社程度かな。それでも大したもので、『カント純粋理性の思索』という本が500部も売れるから、捨てたもんでもない……」 
 大変貌した出版界の未来図である。
 
出版社に求められるもの?
   カスケード発注、スタンダード発注、在庫ステータスなどなど、さまざまな新用語が飛び交う。ほとんど、営業部でもフォローできていない。
  学習と情報交換、出版社サイドからの読者・書店・取次・著者との関係再構築が必要になっている。とりあえずのスタートに、出版社間の情報交換から進めたいものである。(2017.8.28)
出版協副会長 上野良治(合同出版

2017年8月 7日 (月)

第0回 出版協ブックフェスの案内

「空気なんか、読まなくていいじゃない。本を読もうよ。」第0回出版協ブックフェス開催

p.3-p.4

出版協ブックフェス参加社一覧とイチオシ本

2017年8月 4日 (金)

<著作権法違反の共謀罪>の悪夢

 7月31日、警視庁組織対策部は、新宿区四谷2丁目所在の出版社、株式会社きょうぼう社の社長四谷ごうい(68)と、同社員三谷じゅんび(45)を著作権法違反の共謀の容疑で逮捕した。同社を家宅捜索するとともに、社長宅、関連出版プロダクション、印刷所など関係個所を家宅捜索した。2人は、共謀して、著作権者が不明な写真など十数点を、十分に調査もせず、あとで著作権者が申し出た場合に対処すればいいとして、無断で書籍に掲載し、出版しようと企てたものである。さらに、同対策部は、同社は資金面で暴力団との関係があるとみて、同社長と暴力団との関係を追及するとみられる。昨年7月施行された「共謀罪」での摘発第一号事件である。
 ――まさか、こんな記事が新聞に載ることはないだろうと楽観してはいられない。
 「共謀罪」(「テロ等準備罪」)が、去る6月15日、参議院本会議において、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。早くも7月11日からスピード施行されているからである。まさに、捜査当局がいつでも使える法律になったのである。
 「共謀罪」は、市民の社会生活に大きな影響を与える法律であるが、国会では、迷走する法務大臣の答弁にもみられるように、法律の内容に関する討議は深まることなく、成立した。
 政府は、共謀罪はその適用を組織的犯罪集団に限定しているから〈一般市民、会社が対象になることはない〉といっていたが、成立した法律では、組織性は2人以上であればよく、それに該当するかどうかの判断は警察が決めることができるというものだ(もちろん最終判断は裁判所であるが)。
 また、犯罪の計画(共謀)だけでなく、「凶器を買うお金の用意」「犯行現場の下見」など「準備行為」が必要であるので、濫用の歯止めになるともいっているが、何が準備行為にあたるかを決めるのも警察である。
 共謀罪の対象犯罪は277あるが、この中で、特に出版社として警戒しなければならないのが、著作権法違反である。
 出版社にとって、著作権は多いに関係するところである。
 編集・出版活動の中では、写真、図版、文章などの引用は日常茶飯事のこととしている。もちろん十分に著作権に配慮して編集活動をしているが、グレーゾーンは必ずある。
 そうしたことを、編集活動の中で議論したり、資料を取り寄せたりすることは、立派な「準備行為」にあたる。もちろん「故意」に違反しなければいいのであるが、この故意の認定はいくらでもこじつけることができる。
 警察は、ターゲットにした出版社や編集者に対して、内定捜査をして、編集者の弱みを握って(たとえば、飲み屋にツケがあった場合、それを理由に詐欺容疑として逮捕するぞと脅せばいい)、その人から、「会社の誰々さんと、写真の掲載について検討した」との供述を得るだけで、逮捕令状、捜索差押え令状を裁判所に請求することは可能である。裁判所がチェックしてくれるなどと楽観してはいられない。裁判所での令状却下率は1%にも満たないからである。
 検察は、弁護人から公判で問題にされると思えば、起訴しないという判断もできる。警察ははじめから起訴されることを考えておらず、情報収集の目的で逮捕、捜索をすることもある。
 しかし、出版社にとって、社長や編集者が逮捕され、23日間も拘束されたり(実務では、起訴するまで23日間の拘束は原則。起訴されればさらに拘束が続く)、証拠品だとして会社のパソコンなどが押収された場合、編集活動はストップを余儀なくされ、回復不可能な損害をこうむることになる。
 編集活動がストップするだけでなく、金融関係からは「反社会的勢力」と認定されるおそれさえある。
 出版協の加盟社の多くが、社員は1人か2人であるから、すぐ会社の存続にも直結する事態にならないとも限らない。
 戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」は、雑誌に掲載された論文が発端となって、日本共産党再結成の謀議をしたとして治安維持法違反で、編集者、新聞記者など約60人がイモずる式に逮捕された。そのうち約30人が有罪、4人が獄死。現代の治安維持法、共謀罪の発端は、「編集者の会話」であったとなりかねない。
 こうしたことが起こらないことを願うとともに、日頃から共謀罪と著作権法違反との関係についても十分な警戒が必要となる。
出版協副会長 成澤壽信(現代人文社

2018年8月58号(通巻282号)

p.1  ほんのひとこと

<著作権法違反の共謀罪>の悪夢
出版協副会長 成澤壽信(現代人文社
p.2-p.4    「8月に出る本」(出版協Books)

2017年7月12日 (水)

2017年7月58号(通巻281号)

1p ・・・・「ほんのひとこと」

アマゾンの「バックオーダー」発注停止をめぐって
出版協会長 水野久(晩成書房
2p-4p・・・・・・FAX新刊選7月号「出版協Books」

2017年7月 5日 (水)

アマゾンの「バックオーダー」発注停止をめぐって

 一般紙でも報道されているように、アマゾンの発注方式の変更が大きな話題となっている。これまでアマゾンは、取次店に在庫されていない本(および、取次からの注文に出版社が即応できない本)について、取次店を通した取り寄せ調達を行ってきた(アマゾンの用語で「バックオーダー発注」)。ところが、アマゾンは4月末、突然、この「バックオーダー発注」を6月末をもって終了すると発表。アマゾンから各出版社への通知文書では、取次店に在庫のない、われわれ中小出版社のロングテール商品などは、ことごとくアマゾンでは発注できないことになるように読めるため、出版社間に困惑と不安が広がった。

 アマゾンからの通知では、「バックオーダー発注」の中止による販売機会の損失を抑える方法として「e託販売サービス」など、取次店を通さないアマゾンとの直接取引のみが有効だとされている。アマゾンはこれまでもe託への参加を出版各社に働きかけてきたが、今回の「バックオーダー発注」の中止は、明らかに、直接取引の出版社を一気に増やすことが狙いと思われる。それを裏づけるように、5月以降、アマゾンは活発に出版社向け説明会を開催し、「バックオーダー発注」中止の影響の大きさと、e託への参加を(期間限定の特別条件を示して)強力に働きかけている。


 出版協では、日販と情報交換を行うとともに、6月15日、アマゾンのシステムや直取引に詳しい高島利行氏((株)語研)、工藤秀之氏((株)トランスビュー)らを講師に、この問題をめぐるシンポジウムを開催。この問題への関心の高さを示すように会場は、会員・非会員合わせて80人ほどの参加者で満席となった。

 このシンポジウムを通じて、今回のアマゾンの「バックオーダー発注」中止の主目的は、「e託販売サービス」など、アマゾンとの直接取引への誘導を加速させることであるため、「バックオーダー発注」中止の影響が、現在実際に運用されているより大きいように印象される説明になっていることが示された。同時に、「期間限定」としてアマゾンが示している直接取引の条件は、これまでもキャンペーンの度に示されているものであることも明らかになった。「アマゾンの説明会に参加し、急いで直取引に参加しないと大変なことになると感じてこの会を聞きに来たが、落ち着いて考える機会となった」という参加者の発言が印象的だった。


 アマゾンとの直取引については、これまでも出版協としては、各社に次のような点を考慮して判断するよう呼びかけてきた。

 ひとつは再販制の問題である。言うまでもなく、日本の出版物の再販制は、出版社と取次店(取次店は再販契約のない書店には本を卸さない)、取次と小売書店(書店は定価販売を順守する)という2段階の再販契約で成り立っている。取次店を除いたアマゾンとの直接取引においては、アマゾンと出版社の間で個別の再販契約を結ばない限り、定価販売の保障はない。

 この点についてアマゾンは、再販制を尊重すると謳っているが、e託販売の説明を見る限り、定価販売について明確な記述は見当たらない。実際、学生対象のAmazon Studentサービスでは、再販契約違反とする会員社の申し入れにもかかわらず、10%のポイント付与(値引き)が継続されているのが実情だ。再販契約のもとでさえそうなのに、再販契約のない直取引で定価販売が守れるとは思えず、実際に値引きが行われれば、抗議することさえ不可能となるだろう。同時に、同じ商品を取次店を通しても出荷するとすれば、再販契約の下で販売する小売書店には、全く不利な状況を生むことになるのは明らかだ。

 もうひとつは取引条件だ。アマゾンの示す掛け率は、(良くも悪くも変更の難しい)取次の正味とは違うと認識しておいたほうがいい。取引実績による変更がどのように行われるかは定かではなく、アマゾンから条件引き下げの要求があった場合、個別の、それも中小の出版社がそれに抗する交渉力を発揮できるとは考えにくい。ましてアマゾンへの依存度が高くなっていればなおさらだろう。


 6月末をもってアマゾンの「バックオーダー発注」は予告通り全面停止されたようだ。私の社は、Amazon Studentサービスを再販契約違反として、アマゾンへの出荷を停止しているため、実際の影響は分からないのだが、出版協としては、日販との情報交換を含めて、その影響を注視していくこととなる。

 そして、アマゾンのみへの対応ということでなく、書店・ネット書店からの注文によりよい対応ができる取次在庫のあり方、出版社の在庫情報提供のしかたなどについて、日販との情報交換・協議を進めていく予定である。


出版協会長 水野 久(晩成書房

2017年6月28日 (水)

香山リカ氏講演会への妨害行動とその中止決定に抗議する

 東京江東区の社会福祉協議会、香山リカ講演会実行委員会、豊洲こども食堂の共催で627日に予定していた「地域福祉セミナー」が、一部ヘイトグループによる「講演会に乱入する恐れがあります」「つぶすぞ」などと脅迫するメールや電話を受け、「中止」を決定するに至った。

 講演会は、精神科医で立教大教授の香山リカ氏を講師に迎え、「なぜ今こども食堂が必要なのか」という演題で、母子の孤立対策や支え合う地域づくりについてお話いただく、という主旨のものだった。

 中止決定に至った理由は、「講演者の他の機会での発言等に対しメール、電話等で多くのご意見いただき…、中には、当日の健全な進行を妨げる内容のものがあり、ご来場いただく皆様にご迷惑がかかることが予測されるため、参加者の皆様の安全を確保する観点よりやむなく中止の決定をさせていただきました」(同協議会「『地域福祉セミナー』中止について」)とのことである。

 「講演者の他の機会での発言」とは、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のヘイトスピーチに対する香山氏の批判を指すようで、今月の前会長・桜井誠氏がこの講演会についてネット上にツイート、同社会福祉協議会の電話番号を記載したうえで、「問い合わせると、いろいろご意見できそうですね」などと書き込み、講演会の妨害をけしかけていた。

 今回の一番の問題は、一部グループによる講演会に対する卑劣な妨害行動にあるのだが、それを受けて企画を中止してしまった江東区社会福祉協議会の安易な対応にも、表現の自由を保障するという観点から多くの問題が残ったと言うべきであろう。
 中小零細版元80数社で構成する日本出版者協議会(出版協)は、「言論・出版・表現の自由」を何よりも大切にする立場から、この講演会中止に強く抗議するものである。

2017年6月26日 (月)

会員社一覧●2017年8月現在

あ】

阿吽社
亜紀書房
あけび書房
梓出版社
あっぷる出版社
アーニ出版
ありな書房
一光社
インパクト出版会

【か】
海象社
凱風社
解放出版社
海鳴社
花伝社
雁思社
吉夏社
気天舎
教育史料出版会
共和国
雲母書房
健学社
健康と良い友だち社
現代企画室
現代書館
現代人文社
皓星社
合同出版
コスモの本
こぶし書房
コモンズ

【さ】
桜井書店
彩流社
三一書房
三元社
三陸書房
自然食通信社
時潮社
社会評論社
出版人
松柏社
不知火書房
新宿書房
新泉社
水声社
スタジオタッククリエイティブ
青灯社
世織書房
せりか書房
千書房
創森社
創土社
草風館

【た】
大蔵出版
知泉書館
筑波書房
柘植書房新社
東京漫画社
東信堂
同時代社
道玄坂書房

【な】
七つ森書館
南方新社
日本経済評論社

【は】
パイインターナショナル
白澤社
晩成書房
ひとなる書房
批評社
風濤社
風媒社
ブロンズ新社
ぺりかん社
北樹出版
歩行社
ポラーノ出版
本の泉社
ほんの木

【ま】
明月堂書店
めこん
木犀社

【や】
唯学書房
有志舎

【ら】
リベルタ出版
緑風出版
論創社

2017年6月 9日 (金)

2017年6月56号(通巻280号)

p「前門のアマゾン、後門の取次」

出版協理事 田悟恒雄(リベルタ出版

2p-3p ・・・・出版協Books/6月に出る本

4p・・・・・・・・・・出版協Books/6月に出る本(3pの続き)

«前門のアマゾン、後門の取次