2016年8月23日 (火)

取材活動への警察の強権的対応に抗議する

このところ各地で、米軍基地建設や原発再稼働に反対する市民運動への警察の強権的な対応が相次いでいる。しかもあろうことか、これを取材するジャーナリストに対して、問答無用の拘束や逮捕が行われていることは、許しがたい暴挙である。

8月20日には、沖縄県東村高江での米軍北部訓練場新ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設への抗議活動を取材していた沖縄2紙の記者が、市民と共に機動隊車両の間に閉じ込められている。

新聞社の腕章をして記者と名乗り続けても聞き入れられず、約15分間の不当な拘束により、記者は市民排除の様子を取材することができなくなってしまった。

 

また東京でも、21日未明に経済産業省前の脱原発テントが撤去され、これに抗議する集会を取材していたフリーカメラマンが、公務執行妨害のかどで逮捕されている。

 

これら報道に対する警察の強権的対応は、与党大勝の参院選直後から顕著に見られている。

4月には国連人権理事会が、安倍政権の「過度な権力行使」に警鐘を鳴らしたばかりだが、「ジャーナリストの拘束」にいたっては、民主主義と人権を根底から危機に陥れるものであり、断じて許すわけにはゆかない。

 

言論・出版にたずさわるわれわれ日本出版者協議会は、これに強く抗議するものである。

 

                                     以上

2016年7月27日 (水)

出版協『新刊選』2016年8月号 第46号(通巻270号)

1P…悩ましい共通番号(マイナンバー)への対処

 
成澤壽信現代人文社)●出版協副会長
2P……出版協BOOKS/8月に出る本 
 3P……出版協BOOKS/8月に出る本(2Pの続き)

悩ましい共通番号(マイナンバー)への対処

共通番号(マイナンバー)制度に関して、それが施行された昨年10月から今年はじめにかけては、マスメディアも大々的に報道していたが、最近ではほとんど関心をしめさなくなったようだ。

現在、各市区町村では、個人番号カードの交付手続を行っている。しかし、個人番号カード交付の際に市区町村の処理画面が固まる、カード使用が不能になるなど、制度運営の要になっているJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のシステムのトラブルが相次いで発生し、全国集計で個人番号カード約1003万枚の申請に対して、自治体に送付済み977万枚、交付済約337万枚、約640万枚滞留していた(4月26日)。東京・世田谷区では、昨年12月上旬受付分の交付を現在行っているところで、申請の半分程度しか交付事務が完了していない。今年5月申請分の完了が9月にずれ込むと区議会で説明されている。J-LISの発表では、改善されたとされているが、市区町村の処理画面が固まることや、処理速度が遅くなるなどの症状は現在も出ており、こうした実情はその他の自治体でも似たり寄ったりであるという。

共通番号制度に対しては、国による管理・監視(国民総背番号制)になる、個人情報の自己コントロール権の侵害になる、漏えいした場合成りすまし犯罪の温床になる、などさまざまな問題点が指摘されているが、ここでは、私たち中小零細出版社(事業者)に共通した問題として、個人番号の「収集」問題を扱いたい。
 
個人番号(マイナンバー)の提供は、税で2016年1月から、年金や社会保険関連では2017年1月から求められる。所得税については2016年からの所得が対象になるため、年末調整では今年12月、確定申告では来年2月に本格的に個人番号の記入が求められる。
番号法では、個人番号の提供については住民に対して義務化していない。それは、政府が住民に強制して反発され、個人番号の普及が遅れることを恐れているからだろう。
住民に対して義務化していないが、事業者には従業員の税・社会保険等の申請や年末調整事務ために個人番号の収集が求められている。また、事業者には、著者に印税や原稿料を支払った場合、税務署に提出する書類(「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)に著者の個人番号を記載することが義務づけられている。

このため、事業者には従業員や著者に個人番号の提出を求める事務が発生している。
事業者は、従業員や著者から個人番号の提示を受ける際、本人確認に必要な通知カード(+健康保険証、あるいは運転免許証)か個人番号カードのコピーも一緒にいただくことになる。
事業者には、こうして提出された個人番号やその関連書類に関して、厳重な管理(「安全管理措置」)が義務付けられている。「安全管理措置」の内容は、管理責任者の選任、管理区域の設定など多岐にわたり、手間とコストがかかり、中小零細事業者にとっては、とても対応できるものではない。万が一漏えいした場合は、4年以下の懲役または200万以下の罰金が科せられこともある。
昨年の日本年金機構からの情報漏えい(100万件以上)にも見られるように、高度な安全対策をしていたにもかかわらず個人情報が漏れてしまうことがある。 このような不正アクセスによる情報漏えい事件は、2011年9月の三菱重工業(80台以上感染)、2013年10月のセブン通販サイト(15万件以上)、2014年7月のベネッセ(2000万件以上)、2014年9月のJAL(4千件以上)、2015年6月の東京商工会議所(1万件以上)など多数ある。
 
そこで、中小零細事業者のある団体では、つぎのような理由から、個人番号を当面集めない旨を従業員に伝え理解を求めたところがある(「共通番号いらないネット」など主催の5月29日の集会発言)。
「今回、小社としては、検討・熟考した結果、万全の『安全管理措置』がとれませんので、当面番号をお預かりしないで、関係役所に提出が義務ずけられている書類は番号なしで提出する扱いにすることとしました」。
冒頭に書いた個人番号カードの交付事務が遅れていることとも関係するのか、現在のところ、各関係機関では、個人番号の記載がなくても書類が受理されないということはない(平成 28 年4月 12 日/個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び 「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に関するQ&Aの更新http://www.ppc.go.jp/files/pdf/280412_guideline_tuikakoushin.pdf)。

以上の「当面番号をお預かりしない」という方策は、従業員ばかりでなく、著者にも当てはまることではないだろうか。
一方で、「集めない」という選択をすると、関係機関から睨まれ何らかの不利益を被るのではないかという不安も残る。
しかし、集めたが最後、事業者は相当な負担とリスクを負うことになることを肝に銘ずるべきである。万一漏えいした場合のことを考えれば、「集めない」ことは従業員や著者の利益にもかなうことになる。「集めない」という選択を検討する時期にきているのではないか。

成澤壽信(現代人文社●出版協副会長

2016年7月13日 (水)

出版協プレゼンツ ブックデザイン講座

                                     第1回 「デザインの種」そのコツとツボ

●日時/8月26日(金)
19時00分から (開場 18時30分)
終了/20時30分頃 (予定)
●場所/文京シビックセンター会議室
4階ホール
(文京区春日1丁目16番21号)
●講師/鈴木一誌(すずき・ひとし)氏
●参加費/1,000円
 
                                                  【講師紹介】
 
1950年生まれ。グラフィックデザイナー。映画評論家。東京造形大学在学中より杉浦康平デザイン事務所に12年間在籍し1985年に独立。1981年、第1回ダゲレオ出版評論賞受賞。1998年、第29回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2001年より戸田ツトム氏とともに雑誌『d/SIGN』の責任編集に携わる。主な著書に『知恵蔵裁判全記録』(太田出版)『ページと力』(青土社)『画面の誕生』(みすず書房)『映画の呼吸/澤井信一郎の監督作法』(ワイズ出版)『重力のデザイン』(青土社)『全貌フレデリック・ワイズマン』(岩波書店)『デザインの種』(大月書店)等がある。
                                                 
                       【講座内容】
 
2015年に刊行された戸田ツトム氏との共著『デザインの種』(大月書店)のなかから、「紙」「読者の空間」「距離」「時間」「重力と矩形」「タイポグラフィ」「音とノイズ」「手とエラー」「本の背」という9つの事項を厳選し、高濃度な「デザイン」をめぐる90分。編集・製作・ブックデザインにかかわるみなさんは必聴必見のレクチャー!
 
                                                    【懇親会】
 
講座のあとに懇親会を予定しております(参加自由・実費御負担頂きます)
 
参加申し込みは、事務局までメールでお願いします。
また、懇親会参加希望の有無も併せお知らせください。

2016年7月 1日 (金)

出版協『新刊選』2016年7月号 第45号(通巻269号)

1P…リアルです。講座「重版決定!」

 
水野久晩成書房 )●出版協副会長
2P……出版協BOOKS/7月に出る本 
3P……出版協BOOKS/7月に出る本(2Pの続き)

リアルです。講座「重版決定!」

先日まで放送していた出版社が舞台になった民放のテレビのドラマは、見ていた人が多かったらしい。あらゆる社内業務を二人でこなす我が社とは比べようもない大きな出版社の話だけれど、企画を立て、刊行に至る本質は変わらない。出版社と印刷会社、製本所の違いを認識していない人も少なからずいる(案外多い!)ことを考えると、とにかく、出版という仕事への関心度のアップにつながってくれることを期待したい。ちょうどNHKの朝の連続ドラマも出版人がモデルの話だし、ドラマを見たことをきっかけにでも、特に、若い世代の人が、出版という仕事に関心を持ってほしいと強く思う。
 
というのも、出版の世界にもっと若い人がかかわってほしいからだ。個性的な出版活動をしている中小零細出版社の多くは、私たち出版協の会員社の多くがそうであるように、団塊の世代が70~80年代に創業し、支えてきている。60年安保から70年安保の時代に大学生だった団塊の世代にとって、書籍・雑誌の出版物はいちばんの情報媒体だ。マスコミ以外で情報発信を志すなら出版にかかわろうとするのは、いわば当然の流れだったといえるだろう。
しかし、90年代後半以降のインターネットの急速な普及は、人々の情報に対する感覚を大きく変えた。情報を発信する側、求める側、双方の感覚を。コピー機とワープロの普及が、それまで印刷屋さんが独占していた複製・活字組という技術を、誰もが(完成度を問わなければ)手軽にできるものに「解放」したように、インターネットは、それまでマスコミや出版社が独占していた広く情報を発信するという技術を「解放」したといえる。インターネットによって、誰もが、良くも悪くも他人にチェックやダメ出しをされることなく、情報や作品を自由に発信できる。一人で。世界中に……。しかも、経済的なリスクは小さいのだから、情報発信を志す現代の若者が、まずインターネットの方に行くのは当然だろう。

じゃあ、出版にはインターネットに勝る魅力がないのか? そんなはずはない。出版社が持っている「情報を発信する技術」は、印刷するとか製本するとかの具体的な技術そのものではない。情報を見きわめ、練り上げ、ひとまとまりの情報パッケージとして作り上げ、読者に届けるという各段階を、それぞれの専門技術を持つ人々と協力してクリアしていく企画コーディネート力とでもいうようなものこそ、出版社の持つ力の中心と言える。だから、ネットが一人で自由に発信できるということとは逆に、一つの情報を出版物(売れる出版物)という商品にするために多くの人が関わりあうところに出版の本質的な魅力があるのだと思っている。
 
そんな魅力をテレビドラマから感じてくれるのも結構なのだが、出版社の集まりである出版協としても、もっと出版について発信できないだろうか、と考えた。なにしろ、この厳しい状況が続く中、会員各社は工夫をこらして、個性的な出版物を世の中に送りだし続けているのだ。各社の持つノウハウは、貴重なものだ。そして、そのノウハウの交流は、会員社を始めとする中小出版社を元気にするに違いない。とにかく、小さい出版社には、他の出版社のしていること、出版業界全体の動きなどの情報が届きにくいのが現実なのだから。
 
そんなことを話ながら、新しい体制で動き出した出版協ではさまざまな講座やイベントを通して、会員社を始めとする出版関係者(関わろうとする人)の経験交流、情報共有を進めていきたいと企画を進めている。
その手始めとなる【編集連続講座】は、上野良治副会長(合同出版代表取締役)が講師を買って出てくれて、【企画から増刷決定までの現場実務を学ぶ(合同出版のケース)】と銘打ち、7月8日から始まる。月1回ペースの全6回(各回ごとの予約制)。第1回の「どんな判断で書籍企画の採用/不採用を決定しているか」から、「小社ではこれを基準に原稿整理している(第2回)」「小社では、原価率をどう設定しているか/初版部数の決定法則(第4回)」など、確かに気になるテーマが並んだ。詳細問合せ・申し込みは事務局まで。[お陰様で第1回はすでに満席の状況です。]
 8月には、デザイナーの鈴木一誌氏を講師に【ブックデザイン講座(第1回)「デザインの種」そのコツとツボ】を開催することが決まっている。【下欄参照】
出版協プレゼンツの講座・イベントでぜひ情報共有・経験交流を進めていただきたいと願っています。どうぞご注目、ご参加お願いいたします。

日本出版者協議会プレゼンツ【ブックデザイン講座】(第1回)「デザインの種」そのコツとツボ
講師・鈴木一誌氏 予約申込を近日中にご案内いしたします。
編集・製 作・ブックデザインにかかわるみなさんは必聴必見のレクチャー! ご期待ください。
【日時/場所】2016年8月26日(金) 19時00分~20時30分(開場18時30分) 文京シビック区民会議室 4階ホール

水野久晩成書房●出版協会長

『新刊選』2016年7月号 第45号(通巻269号)より

2016年6月29日 (水)

編集連続講座(第1期)

企画から増版決定までの現場実務を学ぶ(合同出版の場合)全6回

1回講座

 

どんな判断で書籍企画の

 採用/不採用を決定しているか

 

(合同出版のケース)

 

 

【講師】

上野良治(合同出版代表取締役)

1950年生まれ。1974年汐文社入社。1977年合同出版入社、1983年編集長就任。

 1988年より代表取締役。食べもの通信社/合同フォレスト代表兼任。

 

【講座内容】

さまざまなロングセラー書籍を刊行して60年。企画立案から著者選びやアプローチの方法から、どのような判断で企画の採用・不採用を決定しているのか、編集会議のあり方など、書籍の企画立案にまつわるさまざまな編集実務を成功例・失敗例のエピソードを交えながらレクチャーします。編集の基礎を学びたい人、他社の内実を知りたい人におススメの講座!

 

日時/場所

 2016年7月8日(金)

 18時30分~20時30分(40分報告/ブレスト討論)

 小石川運動場会議室

 住所:東京都文京区後楽1-8-23

 電話:03-3811-4507 

 

【講座参加費】

 1,000

 

【懇親会】

 講座のあとに懇親会を予定しております(参加自由)。

 

【申し込み】

 出版協事務局にお申し込みください。

 

TEL:03-6279-7103(事務局:吉澤)

 E-MAIL:shuppankyo@neo.nifty.jp

 

                  【第2回以降の講座内容】

 

2回――8月19日(金)

 小社ではこれを基準に原稿整理している

 

3回──9月16日(金)

 著者のために本を作らないというルール

 

4回──10月14日(金)

 小社では、原価率をどう設定しているか/初版部数の決定法則

 

5回──11月18日(金)

 実売部数・返品率をどんな表で管理しているか

 

6回──12月9日(金)

 編集者にとって必要な能力とは何か?

 

開催予定】

8月19日(金)、9月16日(金)、10月14日(金)、11月18日(金)、12月9日(金)

すべて6時30分~8時まで(1時間報告/ブレスト討論:後懇親会あり)

2016年5月31日 (火)

出版協『新刊選』2016年6月号 第44号(通巻268号)

1P…出版不況と言うけれど……

 
上野良治合同出版 出版協副会長
2P……出版協BOOKS/6月に出る本 
3P……出版協BOOKS/6月に出る本(2Pの続き)

出版不況と言うけれど……

●神保町のラーメン屋さん
出版不況という。今月出した○○××という本が思い通り売れないという。「そんなに売れるとは思っていなかったがね……」という言い訳付きだ。
もう、30年も付き合っているが、始終こんな嘆きを聞かされている。
思い通りに商品が売れないという自覚症状がありながら、この友人は四半世紀も○○△△出版の店を張っているのだ。
このことだけでも大したものだ。神保町の交差点からJR水道橋駅まで白山通りに並ぶラーメン屋で、1年を跨いで営業を継続しているとよくやっていると感心するほどで、誠に「昔ありし家は稀なり」である。
この点から見ると出版業の地力恐るべしと評価しなければならない。

●トラック一杯分の不振の理由
たしかに書籍と雑誌、新聞、総じて紙に印刷された商品の販売金額は毎年落ち続けている。原因はいくらも挙げられている。曰く、大学生の質が落ちた。興味・関心が細分化した。人口減少とキノコ型人口構成が効き始めている。ネット情報が氾濫している。最近では電子書籍の登場が取り沙汰される。
確かに、人口が1億2700万人から1億人に減少すると全産業が20%近く規模縮小を余儀なくされるに違いない。お米も本も、床屋も貸し間の必要戸数も原理的には人口によって決まってくる。

●消えモノ・失せモノと本
本がお米やトイレットペーパーのように、「消えモノ・失せモノ」の消費財の性格を持っていたらどんなにいいかと、夢想したことがあった。読むごとに内容が減っていくので、買い足していく必要がある。残念ながら、余程特殊な好事家以外、同じ本を複数買うことはない。
本の使用の頻度を我が身で反省しても、読む回数は0回(積ん読/買い置き)か、基本1回限り。同じ本を年に5回は読み返すという人は稀である。
 
●洗濯機と本のビジネスモデル
洗濯機は1回買うと15年は買い換えられることはなく、ほぼ毎日、繰り返し繰り返し使われる。過大な宣伝のせいで無用な機能に消費者が浮気心を掻き立てられない限り、既存のメーカーの洗濯機に本質的性能の差異はない。 
ナショナルブランドもせいぜい片手ほど、製造ラインも大きい。原価回収台数も本のように初版2000部、3000部というわけではないだろう。
実は、売れないと自覚症状を持ちながら四半世紀も出版社が継続している秘密がここにあると推測している。 
1回買われると、1回しか使われない。他に代替する商品がない。個人と社会の心と頭脳の活動は人類が存続する限り止むことなく、たえまなく本というメディアに新規のテーマが提供される。
 
●有能なプロデューサーの有無
友人は、特殊な関心を持つ層に、その層にあった本づくりで、1冊だけを買って戴くことをビジネスモデルにしているのだろう。その顧客を10万人と想定しようが1000人と限定しようが本質的にかわらない。
いまこのビジネスモデル(の強み)、本の商品特性を踏まえて、社の経営、本の作り方、売り方、働き方を考え直すことで、小社も生き残れるだろうと将来を展望している。
売れている社と売れない社がある、売れる本と売れない本がある、(同じテーマでも)売れる本を作れる編集者と売れない本を作ってしまう編集者がある。同じ陶土を使っても名器と駄器に別れるのは技術の差、技術は個人の肉体にしか宿らない。
能狂言は威勢を失って歌舞伎は威勢がよく、浪曲はまったく低迷して落語は持ちこたえている。柔道、キックボクシングは見る影もない。有能なプロデューサーの有無なのだろうか?
 
●最後に我田引水
そんな訳で、編集技能の実践的・体験的な諸側面を考える研修を、我が為にもやってみたいと思っていた。40年の本づくりの体験から3つや4つの有益な編集作法が見つけ出せるかもしれない。同業の参考になるかもしれない。
出版協は、各種の研修活動に力を入れ、会員相互の交流を図ると言う。この機会を借りたい。名付けて「小社が企画の採否を決定する際の2、3の基準あるいは、小社の成功事例・失敗事例」である。
6回の限定で、小社の編集実態、編集会議のワークショップのようなものである。来月には、出版協事務局からご案内があると思う。ただ、少数のブレスト研修。奮ってご参加を。
読者の性向、テーマをピッタリ読み切り、正確な原価計算、根拠ある初版部数の設定、エッジの立ったタイトル付けの編集能力を身につけ、出す本、出す本「重版出来!」といきたいものである。

上野良治(合同出版 ●出版協副会長

『新刊選』2016年6月号 第44号(通巻268号)より

2016年5月 2日 (月)

出版協『新刊選』2016年5月号 第43号(通巻267号)

1P…会員社獲得のための第1歩

 
成澤壽信現代人文社)●出版協副会長
.2P……出版協BOOKS/5月に出る本 
3P……出版協BOOKS/5月に出る本(2Pの続き)

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