« 出版協、アマゾンジャパンに申し入れ●10%ポイント還元特典などの是正求める | トップページ | 出版協 『新刊選』 2012年11月号 第1号(通巻225号) »

2012年10月31日 (水)

「流対協」から「出版協」へ●時代の変わり目での新たなる“旅立ち”

今から30余年前、小零細出版社の少壮の創業者たちが公正取引委員会の再販制度廃止の動きに反対して集まり、また小零細出版社が直面している差別的取引の不合理な実態を少しでも是正し、公正な取引と出版・表現の自由を確保するという理念で産声をあげた「出版流通対策協議会」(流対協)は、その主張が真っ当であるが故に、一部の人たちには煙たがられ、また一部には“闘う流対協”というイメージを、“正負”ともに与えてきた。途中参加の小生には、その全体的評価を云々する立場に無いが、数年前から新たに加わったグーグル問題から始まった諸問題は、出版界が抱える流通問題に止まらず、出版者の権利を含む業界全体の根本問題に触れる事態にある。

こうした状況下での、任意団体であった流対協が、一般社団法人日本出版者協議会(出版協)として再スタートするには、それなりの決意と責任が要求される。昨年9月、流対協の幹事が合宿をして、法人化の理念、名称の原案を作り、会員社の同意を得て、新法人設立(10月1日)となった。

新法人の目的は、「出版の自由を擁護し、出版者の権利を確立し、出版物の再販制度を守り、出版物の公平・公正な流通を確保し、もって出版事業の発展を図り、文化の向上と社会の発展に寄与する」ことであり、それを達成するために、①言論、出版及び表現の自由の擁護 ②著作隣接権の獲得および著作物利用のための活動 ③出版物の再販制度の維持と擁護 ④公平・公正な出版物流通および取引条件の確立と出版事業への新規参入の促進 ⑤デジタルネットワーク社会に対応する出版事業の発展及び出版文化の向上のための調査及び研究 ⑥出版物の普及方法についての研究と普及の促進 ⑦機関誌、広報誌その他出版物の刊行または配信 ⑧出版関係諸団体との情報交換と交流の促進──などの諸活動を展開する決意である。

発足にあたって、高らかに“戦闘宣言”を期待する向きもあるかも知れないが、声高な宣言を出して状況が変わるような事態ではない。毎日のように廃業や撤退する書店、返品率の上昇と縮小する市場。先の見えないデフレ経済状況下における低定価本へのますますの傾斜。ポイント還元という体の良い値引き合戦などは、“安くしなければ売れない”という神話の虜になっているマインドコントロールの結果ではなかろうか。

戦後の出版界を支え、発展させてきた再販制度のプラス面を虚心に再評価し、それに見合った流通、販売の仕組みを再構築することこそが、安易にマス流通、マスセールの陥穽に落ちた流通機構の再建の道であり、同時に取引条件の改善を図って、資本の無い新規出版者(社)の参入を促進することが、迂遠に見えても業界全体の活性化に繋がる筈である。

また、電子書籍についても、再版商品か否か(公取委は当然ながら否であるが)の議論は未だ尽くされてはおらず、あたかも定価決定権が版元に無いかのような言辞が弄されているが、それもまた未決着のものである。“物わかりの良い”業界人に、われわれは、自らの権利と主張を地道に対置していきたい。

出版協は、様々な問題を抱える業界において、多くの人たちに参加を求める窓口として、法人だけでなく個人の賛助会員制度を作り、議論を高めて新しい時代に挑戦していきたいと考えている。

かつて少壮の青年創業者たちも、次世代に“松明を渡す”時を迎えつつある。30年余の流対協から出版協へ、第二ステージは始まったばかりだ。

絶大な支援と多くの参加を呼びかけたい。

竹内淳夫彩流社)●出版協副会長

出版協 『新刊選』 ↓2012年11月号 第1号(通巻225号)より

« 出版協、アマゾンジャパンに申し入れ●10%ポイント還元特典などの是正求める | トップページ | 出版協 『新刊選』 2012年11月号 第1号(通巻225号) »

ほんのひとこと」カテゴリの記事