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2012年12月

2012年12月28日 (金)

●声明● 消費税増税政権に抗議する

●声明●

消費税増税政権に抗議する

2012年12月28日

今回の政権与党の自民、公明、民主の三党合意によって成立した消費税増税は、縮む経済規模、萎む個人所得のなかで作られた、未来への希望を奪う法律である。先行きが不透明な中、消費税増税によって消費が抑制され、それに伴って税収も減ることが充分に予想されることすら考慮されていない、愚挙愚行である。

加えて現在の消費税制度は、所得の少ない層に対する逆進性や、GDPの2割にも満たない輸出主体の企業のみを利する消費税還付などを正されていないなど公平性に大きく欠けている上、大枠では斉一的に課税され、生活必需品などへの軽減も考えられていない。

万一の実施に当たっては、EU諸国などで実施されている生活必需品、文化の必需品である書籍、雑誌、新聞等への軽減税率を要求する。

※画像で見る

再販違反の値引きには毅然とした態度で (Amazon Student)

明けましておめでとうございます。

自民、維新の会など改憲派の大勝で、言論出版・表現の自由も危ない時代になってきた。深刻化する売上減、キンドルなど電子書籍端末の発売、電子書籍とその価格問題、アマゾンなど再販違反の値引き問題、無権利状態の出版者の権利、などに改憲問題まで上乗せされ、泣きっ面に蜂のようで、おめでとう、などとは言っていられない気分だ。これらの問題への対応を誤まれば、出版業界は壊滅的な危機を迎えることになろう。まさに正念場の年とも言える。
出版協が、アマゾンジャパンに対し、
 ①「Amazon Student」プログラムの10%ポイント還元特典の速やかに中止すること
 ②「Amazon.co.jp」の価格表示について再販対象書籍については「定価」と表示すること
の2点を申し入れていた問題で、同社が「申入書記載の事項に関して、弊サイトとしては個別の契約内容に関して貴会に対しご回答する立場にはない」などと2度に不誠実な回答をきたため、出版協は、12月5日、主要取次店の日販、大阪屋を訪れ、

1 出版協各会員社の商品は、アマゾンジャパンとの再販契約に基づいて卸しているはずで、その点を確認したい。そうでないのならどのような相手との再販契約に基づいて商品を卸しているのか教えてもらいたい。
2 出版協各会員社は出版社-取次店-小売店の再販契約を結んでいるにもかかわらず、Amazon.co.jpが値引き販売行為を行っていることは看過できない。再販契約に違反する行為であること,並びに再販契約を遵守するよう指導することを要請する。
3 Amazon.co.jpサイトの価格表示を再販対象書籍については「定価」表示するよう指導すること
の3点を申し入れた。

若干時間をもらいたいとのことで、今までのところ正式な回答はまだないが、出版協の問い合わせに対し取次店側は、①取引契約対象はアマゾンジャパンではなく、Amazon.comで、②再販契約書は書協のひな形に近い契約を交わしていること、③取次-小売りの再販契約書では、再販契約違反行為については取次店が小売店に対して当事者として指導することになっているとの取次店顧問弁護士の見解、などを明らかにした。

まず注目すべきは、Amazon.co.jpで書籍がアップされ受注し、市川などのアマゾン倉庫から出荷されているので、取次店はアマゾンジャパン株式会社と取引契約をしているのかと思っていたら、アメリカ・シアトルのAmazon.comが取引相手になっていることである。アマゾンジャパンがせいぜいメッセンジャー程度の役割しか果たしていない以上、「貴会に対しご回答する立場にはない」わけだ。これからはアマゾンジャパン経由でAmazon.comと交渉することになる。
そこで再販契約であるが、書協のひな形(取次-小売)はこう定めている。

「再販売価格維持契約書(取次-小売)
第二条 この契約において再販売価格維持出版物とは、出版業者がその出版物自体に再販売価格(「定価」との表示を用いる。以下、定価と称する。)を付して販売価格を指定したものをいう。
第三条 丙(筆者=小売店)は、出版業者又は乙(筆者=取次店)から仕入れ或いは委託を受けた再販売価格維持出版物を販売するに当っては、定価を厳守し、割り引きに類する行為をしない。
第四条 丙は、出版物の再販売価格維持契約を締結しない小売業者に(これに準ずるものを含む)に再販売価格維持出版物を譲渡又は貸与しない。
第五条 丙が第三条及び第四条の規定に違反したときは、乙は丙に対して警告し、違約金の請求、期限付きの取引停止の措置を取ることができる。
 2 前項の措置については、出版業者の指示があった場合を除き、乙は事前に出版業者の諒承を得るものとする」

割り引きに類する行為を行えば、取次店は小売店に対して警告、違約金の請求、期限付きの取引停止を求めることが定められている。Amazon.comのしていることは、明らかに再販違反の値引き行為である。出版社に今求められているのは、この契約書を忠実に履行するよう要請することだ。

2005年当時のポイントカードに関する野口公取委取引企画課長見解については現在も変更はないとの立場であることは、2010年9月30日の公取委と旧流対協との会談で確認済みである。ポイントサービスは値引きであるが、お楽しみ程度のものまでも再販契約違反の値引き行為として規制することは、消費者利益を不当に害することとなるとの見解である。ただ、そのポイントの率については、具体的に示した過去のデータを見る限り、1%ないしその近似値で、3%という数字は見当たらなかったと答えた。3%程度までは許されるというのは、出版業界側の勝手な解釈なのだろう。

また、ポイントサービスが再販契約違反になるかどうかは、「当該当事者間において判断されるべき問題である」との、大脇雅子議員の質問主意書に対する平成13年7月31日付小泉首相答弁書の通りであることも確認済みである。

こうした経緯を考えると、ポイントサービスについては、出版社が再販違反の値引きについては毅然たる態度をとれば済むことなのである。

いまAmazon.comの行為を見過ごせば、日本のリアル書店から電子書店まで壊滅的な影響を被ることになろう。取次店とて両天秤をかけられ利益率は悪くなるだけであろうし、取次店外しも拡大しよう。Amazon.comの売上が急速に伸びてきているとはいえ、われわれ出版社はコンテンツホルダーであり、割り引きに類する行為を行う小売り業者には本を売ってもらわなくていいという覚悟を決め、粛々と対応していけばよいことなのだ。再販契約書ではそういう業者には売ってはならないことになっているのは周知のことである。

出版協は、出版者の権利獲得の問題とともに、Amazon.comの再販違反の値引きを含む再販問題を本年の最重要の課題として取り組むつもりだ。大手版元の奮起を促したい。


高須次郎緑風出版)●出版協会長

出版協 『新刊選』
2013年1月号 第3号(通巻227号)より

出版協 『新刊選』 2013年1月号 第3号(通巻227号)

出版協 『新刊選』
2013年1月号 第3号(通巻227号)

1P ……再販違反の値引きには毅然とした態度で

高須次郎緑風出版)●出版協会長

2P ……出版協BOOKS/1月に出る本
3P ……出版協BOOKS/1月に出る本

産経新聞/電子書籍・2012年回顧●会長コメント

▼産経新聞2012年12月27日記事で高須会長のコメント掲載

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121227/bks12122708130001-n3.htm

2012年12月 7日 (金)

日販、大阪屋へ申し入れ●Amazon Student

12月5日、下記の申し入れを日販、大阪屋に持参しました。
両取次とも、調査の上、回答を約束


申 入 書

2012年12月 5日
 
私ども、日本出版者協議会(出版協)は、Amazon.co.jp のAmazon Student プログラムは明らかに値引き行為であると認識しています。

この間、私どもはアマゾンジャパン株式会社に対して、二度にわたって
1 Amazon.co.jp でのAmazon Student プログラムを中止すること
2 Amazon.co.jp での価格表示について再販対象書籍は「定価」と表示すること
の2点を申し入れて参りました。

アマゾンジャパン株式会社からは10月31日付、および11月26日付で回答がありましたが、「再販契約は弊サイトが特定の者と締結しているものであり」「弊サイトは、当該再販契約の当事者ではない貴会に対して、再販契約の内容やその解釈に関してご回答する立場にはなく、そのため貴会の申し入れに対する回答も控えさせていただきます」との内容で、Amazon Student プログラムの中止、価格の「定価」表示に応じておりません。

つきましては、貴社に対し、次の通り要望いたします。

(1)貴社がAmazon.co.jp に卸している私どもの会員社の商品は、貴社とアマゾンジャパン株式会社との間で結ばれた再販契約に従って卸されていると拝察しておりますが、その点をご確認ください。アマゾンジャパン株式会社との再販契約に基づいているのではないなら、どのような当事者との再販契約をもってAmazon.co.jp に私どもの会員社の商品を卸しているのか明らかにしてください。

(2)いずれにしても、私どもの会員出版社は貴社と再販契約を結んでおり、貴社が商品を卸したAmazon.co.jp が値引き販売行為を行っていることは看過できません。Amazon.co.jp に再販契約に反する旨を早急に通知し、契約当事者として再販契約を順守するようご指導いただきますよう要請します。

(3)サイト上の価格表示についても、再販対象書籍は「定価」と表示することをご指導いただきますよう要請します(この項は、アマゾンのみでなく、貴社の販売サイト、貴社とお取引のある他の販売サイトにも同様にご指導いただきますよう要請いたします)。

(1)(2)(3)へのご回答および指導の結果のご報告を、12月13日までに文書でいただきますよう、お願いいたします。

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