再販違反の値引きには毅然とした態度で (Amazon Student)
明けましておめでとうございます。
自民、維新の会など改憲派の大勝で、言論出版・表現の自由も危ない時代になってきた。深刻化する売上減、キンドルなど電子書籍端末の発売、電子書籍とその価格問題、アマゾンなど再販違反の値引き問題、無権利状態の出版者の権利、などに改憲問題まで上乗せされ、泣きっ面に蜂のようで、おめでとう、などとは言っていられない気分だ。これらの問題への対応を誤まれば、出版業界は壊滅的な危機を迎えることになろう。まさに正念場の年とも言える。
自民、維新の会など改憲派の大勝で、言論出版・表現の自由も危ない時代になってきた。深刻化する売上減、キンドルなど電子書籍端末の発売、電子書籍とその価格問題、アマゾンなど再販違反の値引き問題、無権利状態の出版者の権利、などに改憲問題まで上乗せされ、泣きっ面に蜂のようで、おめでとう、などとは言っていられない気分だ。これらの問題への対応を誤まれば、出版業界は壊滅的な危機を迎えることになろう。まさに正念場の年とも言える。
出版協が、アマゾンジャパンに対し、
①「Amazon Student」プログラムの10%ポイント還元特典の速やかに中止すること
②「Amazon.co.jp」の価格表示について再販対象書籍については「定価」と表示すること
の2点を申し入れていた問題で、同社が「申入書記載の事項に関して、弊サイトとしては個別の契約内容に関して貴会に対しご回答する立場にはない」などと2度に不誠実な回答をきたため、出版協は、12月5日、主要取次店の日販、大阪屋を訪れ、
1 出版協各会員社の商品は、アマゾンジャパンとの再販契約に基づいて卸しているはずで、その点を確認したい。そうでないのならどのような相手との再販契約に基づいて商品を卸しているのか教えてもらいたい。
1 出版協各会員社の商品は、アマゾンジャパンとの再販契約に基づいて卸しているはずで、その点を確認したい。そうでないのならどのような相手との再販契約に基づいて商品を卸しているのか教えてもらいたい。
2 出版協各会員社は出版社-取次店-小売店の再販契約を結んでいるにもかかわらず、Amazon.co.jpが値引き販売行為を行っていることは看過できない。再販契約に違反する行為であること,並びに再販契約を遵守するよう指導することを要請する。
3 Amazon.co.jpサイトの価格表示を再販対象書籍については「定価」表示するよう指導すること
の3点を申し入れた。
若干時間をもらいたいとのことで、今までのところ正式な回答はまだないが、出版協の問い合わせに対し取次店側は、①取引契約対象はアマゾンジャパンではなく、Amazon.comで、②再販契約書は書協のひな形に近い契約を交わしていること、③取次-小売りの再販契約書では、再販契約違反行為については取次店が小売店に対して当事者として指導することになっているとの取次店顧問弁護士の見解、などを明らかにした。
まず注目すべきは、Amazon.co.jpで書籍がアップされ受注し、市川などのアマゾン倉庫から出荷されているので、取次店はアマゾンジャパン株式会社と取引契約をしているのかと思っていたら、アメリカ・シアトルのAmazon.comが取引相手になっていることである。アマゾンジャパンがせいぜいメッセンジャー程度の役割しか果たしていない以上、「貴会に対しご回答する立場にはない」わけだ。これからはアマゾンジャパン経由でAmazon.comと交渉することになる。
の3点を申し入れた。
若干時間をもらいたいとのことで、今までのところ正式な回答はまだないが、出版協の問い合わせに対し取次店側は、①取引契約対象はアマゾンジャパンではなく、Amazon.comで、②再販契約書は書協のひな形に近い契約を交わしていること、③取次-小売りの再販契約書では、再販契約違反行為については取次店が小売店に対して当事者として指導することになっているとの取次店顧問弁護士の見解、などを明らかにした。
まず注目すべきは、Amazon.co.jpで書籍がアップされ受注し、市川などのアマゾン倉庫から出荷されているので、取次店はアマゾンジャパン株式会社と取引契約をしているのかと思っていたら、アメリカ・シアトルのAmazon.comが取引相手になっていることである。アマゾンジャパンがせいぜいメッセンジャー程度の役割しか果たしていない以上、「貴会に対しご回答する立場にはない」わけだ。これからはアマゾンジャパン経由でAmazon.comと交渉することになる。
第二条 この契約において再販売価格維持出版物とは、出版業者がその出版物自体に再販売価格(「定価」との表示を用いる。以下、定価と称する。)を付して販売価格を指定したものをいう。
第三条 丙(筆者=小売店)は、出版業者又は乙(筆者=取次店)から仕入れ或いは委託を受けた再販売価格維持出版物を販売するに当っては、定価を厳守し、割り引きに類する行為をしない。
第四条 丙は、出版物の再販売価格維持契約を締結しない小売業者に(これに準ずるものを含む)に再販売価格維持出版物を譲渡又は貸与しない。
第五条 丙が第三条及び第四条の規定に違反したときは、乙は丙に対して警告し、違約金の請求、期限付きの取引停止の措置を取ることができる。
2 前項の措置については、出版業者の指示があった場合を除き、乙は事前に出版業者の諒承を得るものとする」
割り引きに類する行為を行えば、取次店は小売店に対して警告、違約金の請求、期限付きの取引停止を求めることが定められている。Amazon.comのしていることは、明らかに再販違反の値引き行為である。出版社に今求められているのは、この契約書を忠実に履行するよう要請することだ。
2005年当時のポイントカードに関する野口公取委取引企画課長見解については現在も変更はないとの立場であることは、2010年9月30日の公取委と旧流対協との会談で確認済みである。ポイントサービスは値引きであるが、お楽しみ程度のものまでも再販契約違反の値引き行為として規制することは、消費者利益を不当に害することとなるとの見解である。ただ、そのポイントの率については、具体的に示した過去のデータを見る限り、1%ないしその近似値で、3%という数字は見当たらなかったと答えた。3%程度までは許されるというのは、出版業界側の勝手な解釈なのだろう。
また、ポイントサービスが再販契約違反になるかどうかは、「当該当事者間において判断されるべき問題である」との、大脇雅子議員の質問主意書に対する平成13年7月31日付小泉首相答弁書の通りであることも確認済みである。
こうした経緯を考えると、ポイントサービスについては、出版社が再販違反の値引きについては毅然たる態度をとれば済むことなのである。
いまAmazon.comの行為を見過ごせば、日本のリアル書店から電子書店まで壊滅的な影響を被ることになろう。取次店とて両天秤をかけられ利益率は悪くなるだけであろうし、取次店外しも拡大しよう。Amazon.comの売上が急速に伸びてきているとはいえ、われわれ出版社はコンテンツホルダーであり、割り引きに類する行為を行う小売り業者には本を売ってもらわなくていいという覚悟を決め、粛々と対応していけばよいことなのだ。再販契約書ではそういう業者には売ってはならないことになっているのは周知のことである。
出版協は、出版者の権利獲得の問題とともに、Amazon.comの再販違反の値引きを含む再販問題を本年の最重要の課題として取り組むつもりだ。大手版元の奮起を促したい。
割り引きに類する行為を行えば、取次店は小売店に対して警告、違約金の請求、期限付きの取引停止を求めることが定められている。Amazon.comのしていることは、明らかに再販違反の値引き行為である。出版社に今求められているのは、この契約書を忠実に履行するよう要請することだ。
2005年当時のポイントカードに関する野口公取委取引企画課長見解については現在も変更はないとの立場であることは、2010年9月30日の公取委と旧流対協との会談で確認済みである。ポイントサービスは値引きであるが、お楽しみ程度のものまでも再販契約違反の値引き行為として規制することは、消費者利益を不当に害することとなるとの見解である。ただ、そのポイントの率については、具体的に示した過去のデータを見る限り、1%ないしその近似値で、3%という数字は見当たらなかったと答えた。3%程度までは許されるというのは、出版業界側の勝手な解釈なのだろう。
また、ポイントサービスが再販契約違反になるかどうかは、「当該当事者間において判断されるべき問題である」との、大脇雅子議員の質問主意書に対する平成13年7月31日付小泉首相答弁書の通りであることも確認済みである。
こうした経緯を考えると、ポイントサービスについては、出版社が再販違反の値引きについては毅然たる態度をとれば済むことなのである。
いまAmazon.comの行為を見過ごせば、日本のリアル書店から電子書店まで壊滅的な影響を被ることになろう。取次店とて両天秤をかけられ利益率は悪くなるだけであろうし、取次店外しも拡大しよう。Amazon.comの売上が急速に伸びてきているとはいえ、われわれ出版社はコンテンツホルダーであり、割り引きに類する行為を行う小売り業者には本を売ってもらわなくていいという覚悟を決め、粛々と対応していけばよいことなのだ。再販契約書ではそういう業者には売ってはならないことになっているのは周知のことである。
出版協は、出版者の権利獲得の問題とともに、Amazon.comの再販違反の値引きを含む再販問題を本年の最重要の課題として取り組むつもりだ。大手版元の奮起を促したい。
高須次郎(緑風出版)●出版協会長
出版協 『新刊選』
2013年1月号 第3号(通巻227号)より
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