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2013年8月28日 (水)

ポイントカードによる値引き販売に反対します●読者、書店、取次店、出版社の皆様へ

●声明●

ポイントカードによる値引き販売に反対します

──読者、書店、取次店、出版社の皆様へ

2013年8月28日


学問芸術といった人間の知的創造物である著作物を書籍・雑誌・新聞などによって伝達していく行為は、一国の学問芸術、文化の普及ないしその水準の維持に欠かせないもので、多種多様な著作物が全国に広範に普及されることが求められています。しかも、それらは国民に均等に享受されるべきであり、離島・山間・僻地などを理由に価格差があったりしてはならず、全国どこでも同じ値段で知識や文化にアクセスできることが、民主社会の公正・公平な発展に役立つと考えられています。
その意味で、再販売価格維持制度は、著作物の普及という文化的、公共的、教育的役割を実現していくのに適しているとされ、独禁法制定以前からこうした商慣習があったこともあり、著作物については例外的に許されています。そして著作物再販制度のもとに、出版社、取次店、書店は再販契約を結び、その遵守を約しています。

この再販制度=定価販売によって、本の定価は物価の優等生といわれるほど他の物と比べて安定ないし下落し、いたずらな値引き競争による書店等の倒産廃業を防止してきました。また、返品可能な委託販売制度と相俟って、出版物の安定的な再生産を確保し、出版社はもとより取次店、書店がそれぞれの一定に利益幅が見通せることによって、多様な企画が形成される基盤を保障し、小資本でも出版社を立ち上げ、書店を開業出来る状態を維持してきました。このように本の再販制度は、出版物の多様性と読者の知へのアクセスを保障し、言論・表現の自由という私たちの社会のもっとも基本的な価値を守ってきたわけです。

しかし今、この本の再販制度を内部から崩壊させかねない由々しき事態が進行しています。ポイントカード(ポイントサービス)問題です。「Amazon Student」プログラムの10%ポイント還元に象徴されるように、高率のポイント還元が出現し、いまやさまざまな書店でポイント合戦が展開されています。

ポイントカードについて、公正取引委員会は、1999年12月28日の「著作物再販制度下における関係業界の流通・取引慣行改善等の取組状況について」で、「ポイントカードは実質的に値引きと同一の効果を有するもの」であるとし、また2001年3月26日には糸田省吾公正取引員も「実質的値引きで再販契約違反」と明言しています。

そして、その「ポイントカードの提供が、再販価格維持行為について定めた事業者間の契約に反するかどうかについては、当該事業者間において判断されるべき問題である」(大脇雅子参議院議員の質問主意書に対する2001年7月31日付け小泉内閣総理大臣の答弁書)と答弁して、公取委は、最終的には再販販売価格維持行為の主体である出版社にその判断決定をまかせると指示しています。但し、1%といったお楽しみ程度のポイントカードを止めさせるのは、一般消費者の利益を不当に害する畏れがあるとしています。

これを受け、出版協はポイントカードが再販契約に違反する値引きであることを表明し、再販契約を結んでいる書店がポイントカードを提供することは、他の再販契約を遵守している書店を一方的に不利な立場に追いこみ、契約を守り法規を守る「正直者が馬鹿をみる」結果となっているだけでなく、被害書店を廃業にまで追い込むものとして、この10年来、その中止を求めてきました。

しかるに、ポイント合戦がさらに拡大すれば、書店経営はますます圧迫され、倒産廃業を加速化し、出版社に転嫁されるポイント原資は出版社の経営も圧迫するだけでなく、結局、カバープライスの値上げを招来し、読者は最終的に、高いものを買わされることになります。

20年以上にわたる廃止反対運動によって、ようやく著作物再販制度の存続が確定したにも拘わらず、このような事態を放置すれば、本の再販制度は内部から崩壊してしまうことは必至です。

読者の皆様には、出版物の再販制度の重要性とポイントサービスが本には相応しくないことをご理解いただきたいと思います。

また、出版に関わるあらゆる現場で再販制度を遵守する取り組みがされるべきであり、とりわけ出版社は本の法定再販制度の主体として、ポイントサービスから自社商品の除外を求めるなど、自らの意志で創意工夫をしてポイントカードによる値引き販売に反対し、本の再販制度を守りましょう。

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