「著作権法の一部改正案」の修正を求める
●声明●
「著作権法の一部改正案」の修正を求める
出版者への権利付与は、出版者の電子出版への対応と海賊版対策を目的に検討されてきたが、閣議決定された「著作権法の一部を改正する法律案」は残念ながらその目的を達成するには、以下の点で不十分なところがあり、修正するよう求める。
1 改正案79条は、現行法の「出版することを引き受ける者」ではなく、「出版行為又は公衆送信行為を引き受ける者」に対し出版権を設定できることになっているため、「公衆送信行為を引き受ける者」(第二号出版権者)に出版権を設定できる。これでは、単なるプラットフォーマー、電子配信業者が出版権者になれることになる。また、いわゆるホームページ、ブログ、メールマガジン等にも第二号出版権(電子出版権)が設定可能となり、第二号出版権者というかたちで出版権者の無制限な拡散が引き起こされ、混乱が予想される。改正案は、出版者に本来の紙の出版に加えて電子出版に対応できるようにするという法改正の目的とは著しく異なるものになっている。
改正案は、「原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利」(第80条第二項)、つまり著作物の複製物を用いてインターネット送信等を行う権利を設定された者を、第81条で「第二号出版権者」と呼んでいる。これは、改正法案が、「公衆送信」の概念のなかに「放送」「有線放送」「自動公衆送信」などに加え、「公衆送信行為」という名称で「電子出版」の概念を事実上設けたことを示している。したがって、改正案の出版権の設定は、以下のような趣旨のもとに、出版並びに電子出版を引き受ける「出版者」に対し出版権を設定するよう修正することを求める。
「著作権者は、その著作物について、以下の行為をもって出版を引き受ける者に対し、出版 権を設定することができる。
①文書又は図画として出版すること(記録媒体に記録された著作物の複製物により頒布することを含む)【紙媒体による出版やCD-ROM等による出版】
②記録媒体に記録された著作物の複製物を、公衆送信を用いて電子出版すること【インターネット送信等による電子出版】」
2 海賊版対策は、出版者が契約により第一号出版権者【紙媒体による出版やCD-ROM等による出版】並びに第二号出版権者の両方を得ない限り、出版社としては対策がなく、海賊版対策としては不十分である。海賊版のほとんどが紙の出版物からのデジタル海賊版である現状を踏まえ、第一号出版権のみの出版者も海賊版対策が可能となるよう、この点の法案の修正を求める。
なお改正案が、設定出版権の再許諾や損害賠償請求権を出版権者に認めていることは歓迎する。
「著作権法の一部改正案」の修正を求める
出版者への権利付与は、出版者の電子出版への対応と海賊版対策を目的に検討されてきたが、閣議決定された「著作権法の一部を改正する法律案」は残念ながらその目的を達成するには、以下の点で不十分なところがあり、修正するよう求める。
1 改正案79条は、現行法の「出版することを引き受ける者」ではなく、「出版行為又は公衆送信行為を引き受ける者」に対し出版権を設定できることになっているため、「公衆送信行為を引き受ける者」(第二号出版権者)に出版権を設定できる。これでは、単なるプラットフォーマー、電子配信業者が出版権者になれることになる。また、いわゆるホームページ、ブログ、メールマガジン等にも第二号出版権(電子出版権)が設定可能となり、第二号出版権者というかたちで出版権者の無制限な拡散が引き起こされ、混乱が予想される。改正案は、出版者に本来の紙の出版に加えて電子出版に対応できるようにするという法改正の目的とは著しく異なるものになっている。
改正案は、「原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利」(第80条第二項)、つまり著作物の複製物を用いてインターネット送信等を行う権利を設定された者を、第81条で「第二号出版権者」と呼んでいる。これは、改正法案が、「公衆送信」の概念のなかに「放送」「有線放送」「自動公衆送信」などに加え、「公衆送信行為」という名称で「電子出版」の概念を事実上設けたことを示している。したがって、改正案の出版権の設定は、以下のような趣旨のもとに、出版並びに電子出版を引き受ける「出版者」に対し出版権を設定するよう修正することを求める。
「著作権者は、その著作物について、以下の行為をもって出版を引き受ける者に対し、出版 権を設定することができる。
①文書又は図画として出版すること(記録媒体に記録された著作物の複製物により頒布することを含む)【紙媒体による出版やCD-ROM等による出版】
②記録媒体に記録された著作物の複製物を、公衆送信を用いて電子出版すること【インターネット送信等による電子出版】」
2 海賊版対策は、出版者が契約により第一号出版権者【紙媒体による出版やCD-ROM等による出版】並びに第二号出版権者の両方を得ない限り、出版社としては対策がなく、海賊版対策としては不十分である。海賊版のほとんどが紙の出版物からのデジタル海賊版である現状を踏まえ、第一号出版権のみの出版者も海賊版対策が可能となるよう、この点の法案の修正を求める。
なお改正案が、設定出版権の再許諾や損害賠償請求権を出版権者に認めていることは歓迎する。
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