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2014年4月25日 (金)

著作権法の一部を改正する法律に対する声明

著作権法の一部を改正する法律に対する声明

2014年4月25日

本日成立した「著作権法の一部を改正する法律」は、出版者の電子出版への対応を可能とし、紙媒体の原出版者に文庫化などに対する再許諾権が認められるなどの歴史的側面と共に、主に以下のような看過できない問題点がある。

1 紙媒体と電子媒体の出版権が、出版者に一体的に付与されていないため、アマゾンなどの巨大な電子配信業者によって電子出版市場が支配される道を開いた。

2 出版者が紙媒体の出版権しか持てない場合、デジタル海賊版を差し止めることができないなど、海賊版対策として致命的欠陥がある。

出版者が紙と電子の出版権を一体的に保持できない場合、価格決定権を失い、値引き競争に巻き込まれ、紙の出版物の売れ行きに悪影響を及ぼすこととなり、企画から編集制作・広告販売にいたるまでを担う本来の出版活動が成り立たなくなるおそれがある。早急に文化政策の観点から、フランスで成立した電子書籍の価格維持法のような法整備が求められる。

我々出版者は、本改正法のもと、著作者との信頼・協力の上で、紙と電子の出版権を一体的に設定する契約慣行の構築等を通じて、上記の問題点に対応するよう努めていく。

しかし本改正法は、日本の知の伝達と継承を担ってきた出版者を、危機に陥れる可能性がある。早急に政府は本改正法を見直し、日本の出版文化を防衛すべきである。

なお、著作権保護期間切れのため保護されない出版物のうち、とくに文化的学術的観点から、下記の出版物を出版した出版者の権利を、ヨーロッパ連合諸国で行っているように、一定の条件をつけて一定期間保護するための法的整備を速やかに行うよう、重ねて要望する。

1 古典を新たに組み直し、あるいは翻刻・復刻して出版物を出版した出版者。

2 著作権が消滅した未発行の著作物を発行した出版者。

以上

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