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2014年10月 7日 (火)

七つ森書館への不当判決に抗議する

七つ森書館への不当判決に抗議する

2014年 9月30日

2012年4月11日、日本出版者協議会加盟の出版社である七つ森書館が、読売新聞東京本社によって出版差し止めなどを求めて訴えられた。

2014年9月12日、東京地裁は、七つ森書館に171万円の支払いを命じる判決を言い渡した。東海林保裁判長は、七つ森書館の再刊本の販売は、著作権侵害にあたると判断した。七つ森書館は不当判決として、控訴した。

『会長はなぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』(読売社会部)は1998年に新潮社から出され、2000年に文庫化されたものである(内容は証券会社による損失補填の発覚に端を発した金融不祥事件の取材解明)。今回、七つ森書館が読売新聞社と2011年5月9日に出版契約を結び「ノンフィクション・シリーズ“人間”」(佐高信監修)に収録することになったものである。それまで、なんら問題もなく出版に向けて準備を進めていたのに、2011年12月になって突然、読売側は契約の「合意解除」を求めてきた。これは同年11月に勃発した読売新聞グループ本社及び読売巨人軍内における清武英利氏(読売巨人軍専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行、当時)と渡邉恒雄氏(読売新聞グループ本社会長兼主筆、読売巨人軍球団会長)との対立が原因であることは明らかである。

七つ森書館は、本書の出版について2010年12月から交渉を開始しており、清武氏のかつての部下であり、本書の取材記者もつとめた読売新聞社会部次長(当時)が交渉の窓口となって会社の法務部門と協議した上で結ばれた出版契約である。

判決文によると、「原告からH(社会部次長)への本件出版契約の契約締結に係わる代理授与の有無についてなんら調査確認もせず……被告に過失があるものといわざるを得ない」としているが、契約者の信憑性を「調査確認」した上で契約しろ、といっているに等しい。世間の失笑を買う判決といわざるを得ない。

判決は、読売側の主張をなぞったものにすぎず、七つ森書館に対する出版妨害を追認したものである。大手マスコミである読売新聞社が、小出版社の七つ森書館を訴えることによって、多大な時間と訴訟費用の浪費を迫り、自らの主張を押し通すという暴挙に加担しているに等しい。

われわれジャーナリストにとって社会的正義は何よりも重く、言論・表現の自由は社会的正義を守り抜くためにある。東京地裁の判決の不当性を訴えるとともに読売新聞東京本社は直ちに訴訟を取り下げ、七つ森書館に対して謝罪し相当の補償をすべきである。



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