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2015年10月 1日 (木)

軽減税財務省案への反対声明

 

この度、財務省から発表された消費税の軽減税率適用について、飲食料などの軽減税率2%分を限度額の範囲内で「ポイント制」によって還付する案が提示されました。そのためにマイナンバーカードを活用する、としています。この方法は、事業者の事務負担軽減を優先した分が消費者にしわ寄せされることになります。さらに、小売店の負担となるマイナンバーカードの読み取り機の設置費用、データの蓄積に関わる財政負担の発生、システム構築が消費税引き上げ時に間に合わないことが予想されます。また、子どもや高齢者対策が不備、カードの紛失や盗難に伴う個人情報の流出問題、税の還付のシステムが複雑であるなど、解決されなければならない前提が未整備の中、任意である筈のマイナンバーカードを税の還付を受ける為に半強制的に取得させられることになりかねません。更には、国民の買い物のデータが国に掌握されることでのプライバシー侵害や、セキュリティー上の不安も無視できません。

我々は予てより、消費税増税に伴う出版物への軽減税率適用を、知の伝達と文化の継承に不可欠な出版物の為に強く求めてきました。にも拘らず、これを無視し、今回飲食料品のみを軽減税率適用の対象としたことは、誠に容認し難く、遺憾の念を禁じ得ません。

人間は、日々食べなければ生存できません。同様に新聞や雑誌、書籍を読むことで情報や知識が伝達され、また心が満たされます。豊かな読書体験は心を癒したり、感動を覚えるのみならず思考力、創造力を育成し、ひいては国の発展に繫がると考えます。殊に未来がある子どもたちや若年層が、少しでも軽い税負担で活字文化を享受できる環境が望まれます。

欧米の先進諸国には書籍、雑誌も含めて、活字文化は単なる消費財ではなく「思索のための食料」という考え方があります。故に英国、アメリカの多くの州、またアジアでも韓国では出版物は0%、フランス、ドイツを始め多くの欧州諸国で軽減税率を適用しています。

これら既に軽減税率制度を導入している先進諸国に倣い、消費者に文化の継承に不可欠な出版物に負担をかけることなく、速やかなる出版物への軽減税率適用を強く求めます。

 

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