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2016年8月30日 (火)

日本出版販売(株)王子流通センター見学会記

去る8月8日、日本出版販売(株)様(以下「日販」と呼ばせていただく)のご厚意を頂き王子流通センターの見学会を行った。募集期間が短かったにもかかわらず29名の参加者。出版協の前身「流対協」時代に行ってから十数年ぶりの開催で初めての方が多かったのも当然であろう。当日は猛暑のなか、JR王子駅に集合路線バスで王子流通センターに向かった(約10分)。
本社からいらした、今回の見学会受け入れ担当の方の出迎えを受けて15時から見学会の開始となった。まず、概要説明そしてセンター内現場見学、その後担当者との質疑応答17時終了のスケジュールである。
 
概要説明では、取次の役割、そして日販の流通センターの紹介。
・ 王子流通センター
・ ねりま流通センター(雑誌)
・ CVS営業所(雑誌)
・ Web-bookセンター(ネット対応)
などである。
 
王子流通センターは1970年開設、日販最大の流通センターで書籍(新刊、既刊本及びコミック、文庫、新書)を扱う。働いている方が700人、一日の取り扱いが180万冊、新刊は日に300点80万冊を扱う。在庫は約70万点、650万冊。版元への注文は出版vanやnocsなど。また、王子流通センターにない書籍の在庫状況の提供の要望があった。
注文品の仕分けについてはMS2(マルチスーパ2)を1998年に、そして2007年にはBCS(ブックス)を導入との説明がなされる。(この仕分け機については現場見学のところで説明)王子流通センターの建物は1~4号館、6階建。
センター現場見学は4班に分かれ、各班に日販の方が付き説明を頂いた。現場は稼働中で仕事の邪魔にならないように、また「事故」に遭わないように、更に場所によっては相当騒音がするため少人数で説明を聞きやすくするため等の配慮と思われる。見学は1~3階の単行本関係のシステムを回る順番を変える方法で行った。以下の説明は私が回った順である。
 
「新刊センター」(3階、在庫エリア)
 発行後1ヶ月の新刊と売上良好の新刊 をストック
「BSC(ブックス=Book Channelizer System)」(3階)
 「MS2」で対応できない書店からの直 接注文などでデータのない書籍や定型 外の仕分
  け機。日に10万冊を6,000 書店に仕分け起票を行う。
「MS2」(2階)
 注文書籍の投入、書店別仕分け、搬出、 伝票発行といった全ての工程を網羅する、 多
  判型対応の高速自動仕分け機。日あ たり約50万冊を約6,000方面に仕分け。
「データーイン」(2階)
 書店から直接注文された商品や手書き の短冊付き商品の情報のデータを担当 者が入
  力。30台の端末を使用。これに よりセンター内の商品全てをデータ化 することで注文品
  の100%機械仕分け が可能送品のスピード化等を実現。注 文票や手書き短冊の客注
  者名や客注番 号の情報については、それらを入れる ので書店には届くとのこと。
「大口検品機」(2階)
 一覧注文やセット品等大口品の納入検 品を行う。
「新刊ライン」(1階)
 新刊書籍の送品ライン、通過型重量検 品機で1個1個の荷物の重量計測を行い、 商品
  の過不足チェックを行う。
「SS80」(1階)
 新刊、注文品全ての荷物を日約5万個、 一時間あたり最大6,000個運送会社別、 80方 
  面に仕分ける。
といったところを質疑応答も交えて一時間あまりかけて回る。
現場見学後の質疑応答はコミック・文庫センターの方と新刊センターの方お二人との間で行なわれた。
在庫エリア5階の専門書センター(見学をしたかった)への在庫希望について。
 在庫をしている版元は決っているが取 次や版元の希望で交渉することはある とのこ
   と、相談を。
「データーイン」の場合客注名など手書き短冊情報が書店に届くかどうかの質問について。
 データ化しても手書き短冊は入れると のこと、但しデータ化には2~3日か かるとの返
  答。その分だけ書店への納 品は遅れる。
王子流通センターに納品から書店への到着日の質問。
 おおよそ2~3日目には書店に到着。 沖縄、北海道でも一週間くらいとのこと。手書き短
  冊の注文品が「宛先不明」で間々返品されることについて。
 一つには短冊用紙が弱い可能性、集品 時の取扱いに問題がある可能性、後者 につい
  ては日販の方で調査との返答等 であった。
 
今回の見学会には編集担当の方も参加していて普段接することが少ない出版流通の学習の機会にもなった。
 
日販王子流通センター様には見学会を引き受けていただいたことに改めて感謝を申し上げます。有難うございました。
 
髙野政司(解放出版社●出版協理事

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