さまざまなプロジェクトを立ち上げる
●アナグラから顔を出すために
本年7月から全6回で「編集研修講座」をやっている。月1回で、約40人が連続して受講してくださるので、張り合いもあり、有り難いことである。
「合同出版のケース」とあるようにあくまで体験的・実務的な内容の公開である。日頃痛感しているので、そのまま書くが、「編集者は穴ぐらに入っていて、ときどき著者のところに出掛けていく」という習性があって、他所様がどうしているかさっぱり知らない。せいぜい、刊行物でしか、相手を知らない。
本年7月から全6回で「編集研修講座」をやっている。月1回で、約40人が連続して受講してくださるので、張り合いもあり、有り難いことである。
「合同出版のケース」とあるようにあくまで体験的・実務的な内容の公開である。日頃痛感しているので、そのまま書くが、「編集者は穴ぐらに入っていて、ときどき著者のところに出掛けていく」という習性があって、他所様がどうしているかさっぱり知らない。せいぜい、刊行物でしか、相手を知らない。
こんな状態を少しでも風通しを良くするために、また私自身の40余年やってきた編集手法や原則を再検討するためにも有効だと思ってスタートした。
第1回から、編集会議での企画の採用・不採用の判断過程、密やかにおこなわれている編集者による原稿整理の実際、著者のために本を作らないというルール、原価率の設定、実売・返品管理法など、そのつど実際の表やデータを紹介した。
この原稿が出るころは6回目が終わっていると思うが、編集者にとって必要な能力(いや私が編集企画を立てる際の6つの手法)の話をしたいと思っている。
この原稿が出るころは6回目が終わっていると思うが、編集者にとって必要な能力(いや私が編集企画を立てる際の6つの手法)の話をしたいと思っている。
●出版協プレゼンス研修が次つぎに
11月には、図書館営業研修講座が企画され「図書館営業の基本の基―図書館に自社の本を選書してもらうにはどんな工夫が必要か?」のテーマで、元TRC社長の尾下千秋氏(現絵本塾出版社長)に話をして頂いた。
図書館流通センターの成り立ちや成長のポイント、図書館の現状、出版社の図書館営業の狙い目などだったが、定員をオーバーする盛況で、すぐにでも動き出す必要がある示唆に富むお話であった。
11月には、図書館営業研修講座が企画され「図書館営業の基本の基―図書館に自社の本を選書してもらうにはどんな工夫が必要か?」のテーマで、元TRC社長の尾下千秋氏(現絵本塾出版社長)に話をして頂いた。
図書館流通センターの成り立ちや成長のポイント、図書館の現状、出版社の図書館営業の狙い目などだったが、定員をオーバーする盛況で、すぐにでも動き出す必要がある示唆に富むお話であった。
講演後の懇親会も大いに盛り上がり、図書館に版元がどのようにアプローチするかが議論となった。分析や評論が私たちの任務ではないので、実践が必要になる。それには、実行部隊の結成が不可欠だ。
取次との提携、書店営業、読者対応など、もはや一社ではできない。いや、一社でもやってこなかったことがたくさんあり、いまや、一社では解決に手があまる問題が山積みしている。
取次との提携、書店営業、読者対応など、もはや一社ではできない。いや、一社でもやってこなかったことがたくさんあり、いまや、一社では解決に手があまる問題が山積みしている。
●地殻変動の時代を乗り越えていく
取次や地方の書店が消えていくという地殻変動、新刊委託率の70%から35%への激減、ネット情報が出版物というメディアに与え続けている変革のインパクトなどは、版元がたとえ共同化してもなかなか手ごわい課題だろう。
諦めてしまわない限り、課題の解決を引き受ける意欲をもった出版社が共同して知恵を出し合い、できるところから手をつけていくことしかないだろう。出版社の人的ネットワークづくりから始め、研修と情報交換の先にワークチームが出来上がっていくと理想的だ。
取次や地方の書店が消えていくという地殻変動、新刊委託率の70%から35%への激減、ネット情報が出版物というメディアに与え続けている変革のインパクトなどは、版元がたとえ共同化してもなかなか手ごわい課題だろう。
諦めてしまわない限り、課題の解決を引き受ける意欲をもった出版社が共同して知恵を出し合い、できるところから手をつけていくことしかないだろう。出版社の人的ネットワークづくりから始め、研修と情報交換の先にワークチームが出来上がっていくと理想的だ。
手始めに書店・図書館に「新刊の情報」「売れ行き情報」「在庫僅少情報」「書評・映画化情報」などのタイムリーな提供が必要だろう。これは、同時に著者・読者にも不可欠だろう。
チラシ→FAX→メール/SNSの世界に出版界は対応しているのだろうか? もちろん、日本出版情報センターが構築している「書籍情報データベース」に期待しているが、取次――書店――出版社のリングの内部で完結していて、本の情報を必要とするプロ、実際に買って頂く読者界に開かれているとは言えない。ぜひ、社会的資源としての汎用性のあるデータベースに変身して欲しい。
チラシ→FAX→メール/SNSの世界に出版界は対応しているのだろうか? もちろん、日本出版情報センターが構築している「書籍情報データベース」に期待しているが、取次――書店――出版社のリングの内部で完結していて、本の情報を必要とするプロ、実際に買って頂く読者界に開かれているとは言えない。ぜひ、社会的資源としての汎用性のあるデータベースに変身して欲しい。
一方で、100社余りの版元の身の丈にあった情報提供ツールがあってもよいだろう。また、読者と著者を結びつける役割も出版社にとって重要かつ社会的な機能だろう。読者にも、物を書く方々にとっても重要な刺激になると思う。
さらに、読者と出版社の距離を縮めるイベントがもっとおこなわれてよいだろう。出版社に電話を掛けるのは気軽にはできない。ましてや、どうしたら本が出せるのか、版元は案内をしてこなかった。
さらに、読者と出版社の距離を縮めるイベントがもっとおこなわれてよいだろう。出版社に電話を掛けるのは気軽にはできない。ましてや、どうしたら本が出せるのか、版元は案内をしてこなかった。
本を読みたい方と結びつく/本を出したい方と結びつく。出版物の社会的機能を拡大していく中でしか、出版界の拡大も、魅力の向上も実現しないであろう。
取次と書店と読者→出版社の関係をどんどん深めていく。出版協がこの役割を少しでも果たせればいい。100社ほどの版元が力を出せば、さまざまなことができるだろう。
それには時々は穴ぐらから出て、出版協プレゼンスの研修会に出てもらえれば有難い。その小さな一歩が、変革をもたらすことを切望している。
取次と書店と読者→出版社の関係をどんどん深めていく。出版協がこの役割を少しでも果たせればいい。100社ほどの版元が力を出せば、さまざまなことができるだろう。
それには時々は穴ぐらから出て、出版協プレゼンスの研修会に出てもらえれば有難い。その小さな一歩が、変革をもたらすことを切望している。
上野良治(合同出版 )●出版協副会長
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