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2017年2月 8日 (水)

共謀罪(「テロ等準備罪」)法案提出に反対する

報道によると、政府は共謀罪(「テロ等準備罪」)を新設する法律案を今国会に提案する予定である。共謀罪はこれまで何度か国会に提案されたが、「市民団体、労働組合なども対象になる」、「犯罪が実行されなくても、心の中で思ったことで逮捕される」などの批判があり、そのつど廃案になっている。


今回の
共謀罪(「テロ等準備罪」)はおおよそつぎのとおりである。①適用対象の「組織的犯罪集団」を〈刑務所に4年以上入ることになる犯罪〉の実行を目的する団体、処罰に関して②犯罪行為の具体的・現実的な「合意」、③犯罪の計画だけでなく、「凶器を買うお金の用意」「犯行現場の下見」など「準備行為」の実行を条件とすることで、これまでの共謀罪の適用範囲を限定するとしている。

犯罪行為が行われていない段階(犯罪を計画したとき)で処罰する点では、これまでの共謀罪となんら変わりはない。呼び名をあらためて共謀罪を衣替えしたものといえる。


共謀罪(「テロ等準備罪」)にはさまざまな問題点がある。とくに以下の5点は見逃すことができない。

依然として「組織的犯罪集団」の定義が曖昧であること。

②対象犯罪の範囲はしぼるとしているが、300を超えていること。

③「合意」や「準備行為」などの「共謀」に関する捜査は、その集団の構成員の内心やその集団の内部におよばざるを得ないこと。

④国際組織犯罪防止条約に加わるための法整備に必要だとしているが、この条約は国境を越える経済的組織犯罪への対処を目的するもので、テロ対策とはまったく関係ない。

東京五輪・パラリンピックでのテロ対策としているが、日本は国連のテロ関連条約のすべてに加盟し、国内法を整備しているので、あらたなテロ対策の法律の必要性はない。

 

とくに、③の「共謀」の疑いを理由とする段階からの捜査が可能となれば、盗聴や捜査協力者を使った潜入捜査が多用されることが予想される。そうした捜査は、市民団体や労働組合の活動内容に踏み込むおそれがある。それは、市民団体や労働組合に参加する市民や労働者の「内心の自由」や表現活動などを萎縮させたり侵害することにつながる。

 

 一般社団法人日本出版者協議会は、内心の自由や表現の自由を脅かす共謀罪(「テロ等準備罪」)を新設する法律案の国会への提出に強く反対する。

以上

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