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2017年6月

2017年6月28日 (水)

香山リカ氏講演会への妨害行動とその中止決定に抗議する

 東京江東区の社会福祉協議会、香山リカ講演会実行委員会、豊洲こども食堂の共催で627日に予定していた「地域福祉セミナー」が、一部ヘイトグループによる「講演会に乱入する恐れがあります」「つぶすぞ」などと脅迫するメールや電話を受け、「中止」を決定するに至った。

 講演会は、精神科医で立教大教授の香山リカ氏を講師に迎え、「なぜ今こども食堂が必要なのか」という演題で、母子の孤立対策や支え合う地域づくりについてお話いただく、という主旨のものだった。

 中止決定に至った理由は、「講演者の他の機会での発言等に対しメール、電話等で多くのご意見いただき…、中には、当日の健全な進行を妨げる内容のものがあり、ご来場いただく皆様にご迷惑がかかることが予測されるため、参加者の皆様の安全を確保する観点よりやむなく中止の決定をさせていただきました」(同協議会「『地域福祉セミナー』中止について」)とのことである。

 「講演者の他の機会での発言」とは、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のヘイトスピーチに対する香山氏の批判を指すようで、今月の前会長・桜井誠氏がこの講演会についてネット上にツイート、同社会福祉協議会の電話番号を記載したうえで、「問い合わせると、いろいろご意見できそうですね」などと書き込み、講演会の妨害をけしかけていた。

 今回の一番の問題は、一部グループによる講演会に対する卑劣な妨害行動にあるのだが、それを受けて企画を中止してしまった江東区社会福祉協議会の安易な対応にも、表現の自由を保障するという観点から多くの問題が残ったと言うべきであろう。
 中小零細版元80数社で構成する日本出版者協議会(出版協)は、「言論・出版・表現の自由」を何よりも大切にする立場から、この講演会中止に強く抗議するものである。

2017年6月26日 (月)

会員社一覧●2017年8月現在

あ】

阿吽社
亜紀書房
あけび書房
梓出版社
あっぷる出版社
アーニ出版
ありな書房
一光社
インパクト出版会

【か】
海象社
凱風社
解放出版社
海鳴社
花伝社
雁思社
吉夏社
気天舎
教育史料出版会
共和国
雲母書房
健学社
健康と良い友だち社
現代企画室
現代書館
現代人文社
皓星社
合同出版
コスモの本
こぶし書房
コモンズ

【さ】
桜井書店
彩流社
三一書房
三元社
三陸書房
自然食通信社
時潮社
社会評論社
出版人
松柏社
不知火書房
新宿書房
新泉社
水声社
スタジオタッククリエイティブ
青灯社
世織書房
せりか書房
千書房
創森社
創土社
草風館

【た】
大蔵出版
知泉書館
筑波書房
柘植書房新社
東京漫画社
東信堂
同時代社
道玄坂書房

【な】
七つ森書館
南方新社
日本経済評論社

【は】
パイインターナショナル
白澤社
晩成書房
ひとなる書房
批評社
風濤社
風媒社
ブロンズ新社
ぺりかん社
北樹出版
歩行社
ポラーノ出版
本の泉社
ほんの木

【ま】
明月堂書店
めこん
木犀社

【や】
唯学書房
有志舎

【ら】
リベルタ出版
緑風出版
論創社

2017年6月 9日 (金)

2017年6月56号(通巻280号)

p「前門のアマゾン、後門の取次」

出版協理事 田悟恒雄(リベルタ出版

2p-3p ・・・・出版協Books/6月に出る本

4p・・・・・・・・・・出版協Books/6月に出る本(3pの続き)

前門のアマゾン、後門の取次

 
■不意の挟撃
 連休直前の4月28日、アマゾンジャパン合同会社書籍事業部購買統轄部から、「重要なお知らせ」が届いた。この6月末をもって「日販バックオーダー発注(非在庫商品取り寄せ)」を終了する、というのだ。
 あまりに唐突な「お触れ」に、出版業界は上を下への大騒ぎ。さらに、5月2日の日販の「見解」が、追い討ちをかける。「今回のお申し入れのままでは、出版社の取引の選択が狭められ、対応ができない社が出ることも懸念されます」と。
 真っ先に「対応できなく」なりそうな零細出版者としては、それだけでも戦々恐々なのだが、泣きっ面にハチ、連休が明けると、今度は五軒町方面から、「返品率上昇」を理由に「協議したい」旨の連絡を頂戴することに。この手の申し出は、過去2度も体験しているので、先方が何を言いたいのかは百も承知。要は、取引条件の改定要請なのだが、まかり間違っても改善してくれるといった話ではない。
 ともあれ仕入窓口に出頭。前年度の不本意な「成績表」(データ)を前に、先方の言い分を神妙に聞く。一通りの説明を受けてから、「本日はお話を伺うだけにして、後日、質問状をお出ししますので、文書にてお答えいただいたうえで "協議" に入らせていただきます」と席を辞した。
 
■優越的地位の濫用?
 実は小社、トーハンとの直接取引はここ20年くらいのものなのだが、そのスタート時、「取引をお願いする」という当方の圧倒的に弱い立場ゆえ、不承不承、署名捺印せざるをえなかった「条件書」には、こうあった。返品率と「歩戻し」の率を連動させるというのだ。しかし契約の場で急遽書き込まれたその条項は、いつまでも零細版元を苦しめ続けることになる。
 しかもその文書、取引契約書とは別建てではあるが、本契約と同様の拘束力を持っている。だが、どういうわけか、当方にはその控えも渡さないという、きわめて不明朗なものだった。
 そのようなものが、何年も後になって「返品率上昇」が問題にされたときに持ち出され、そのときに初めて、その控えが、あろうことかFAXで送られてきたのだった。
  ところで、「返品率上昇」を理由に、取次が版元の取引条件の引下げを求めるというのは、「その責任はひとえに版元にあり、版元だけが責を負うべし」との考えのよう。では、その合理的な根拠はいったいどこにあるのか、取次は丁寧に説明しなければならない。
 その点について納得しうる説明ができないのなら、これは独占禁止法に言う「優越的地位の濫用」に限りなく近いと指弾されても仕方あるまい。
 
■色とりどりの差別取引
 翻って、そもそも「歩戻し」とは何なのか? 「注文支払い保留」とは何なのか? そして、それらをもっぱら後発の弱小版元に課すことの正当性は、どこにあるのか? これらの問いかけに取次の説得的な説明がなされたとは、寡聞にして知らない。
 1973年に勃発した「ブック戦争」は、翌74年に「版元出し正味を最低69%、取次マージン8%(8分口銭)」で一応の決着をみたものの、80年代以降、取次店は新規取引版元を中心にこれを68%、67%へと、なし崩し的に切り下げていった。こうして「取次8分口銭」という原則は、いつしか「9分」へ、さらには「10分口銭」へと変えられてしまった。
  しかも、それがもっぱら弱い立場の新規版元に対して進められたことが、今日ある差別取引の基本構造をつくりあげたと言っても過言ではないだろう。創業したての版元が巨大寡占取次相手に条件交渉できる余地など、これっぽちもない。取次店の「優越的地位」は、いささかも揺らぐことがないのだ。
 社会のさまざまな領域で「差別」が問題視され、その「是正」が叫ばれつつある昨今、このような「差別取引」は、もはや時代遅れのものとなっているのではないのか? そして、出版が何より大切にしなければならない「多様性」を奪いかねない「差別取引」は、一刻も早く撤廃しなければならない。
 
■ 熟考に熟考を重ね…
  ここで「ふりだし」に戻ろう。アマゾンである。
 アマゾンが今回、「取次外し」とも言える乱暴な挙に出た背景の一端には、上述のような取次の「差別取引」があることを見逃すわけにはいかない。そのウイークポイントを、みごとに突いてきているからである。
「差別取引」に苦しめられ続ける中小零細版元が、鼻先に差し出された一見好条件とも思える「擬似餌」に目が眩んでしまうのも理解できなくはない。
だが、ちょっと待て。e託契約の前に、よーく心しておかなければならないことを、2つだけ挙げよう。
  まずは、その初期の契約条件がせいぜい1~2年限りのものでしかないこと。先方の間尺に合わなくなれば、いつでも無慈悲に破棄されることを覚悟しておかなければならない。
 そして、くだんの「e託販売サービス規約」第7条には、「甲(アマゾン)は単独の裁量で、乙(出版社)のタイトルの小売価格を決定します」と、白昼堂々「再販制崩し」を宣言していることも、見逃してはなるまい。
 
出版協理事 田悟恒雄(リベルタ出版

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